結論
磯焼けとは、本来海藻が繁茂して豊かな漁場を作る「藻場」が衰退・消失する現象のことです。原因は海水温の上昇や食害生物(ウニ・魚)による食圧、沿岸環境の変化など複数が重なって起こります。回復にはウニの駆除、藻場再生事業、環境改善など長期的な対策が必要であり、自然回復には数十年かかることもあります。
磯焼けとは何か?
定義:沿岸域で海藻が減少し、岩肌がむき出しの状態になる現象。 外見:海中が「はげ山」のようになり、魚や貝が減少する。 発生地域:日本全国で報告されており、特に暖流の影響が強い地域や都市近郊で顕著。
なぜ磯焼けが起こるのか?(主な原因)
1. 食害生物による過剰摂食
ウニ:特にガンガゼ、ムラサキウニなどは海藻を大量に食べ、藻場を破壊。 魚類:アイゴ、ブダイなど植食性魚類が増加し、藻場の回復を妨げる。 漁獲圧が減って天敵が少なくなり、食害生物が異常繁殖することで悪循環に。
2. 海水温の上昇
温暖化によって藻類(特にコンブやワカメ)が高水温で枯死しやすくなる。 南方系の魚が北上し、藻場を食い荒らすケースも報告されている。
3. 富栄養化・水質変化
赤潮や濁りによって日光が届かなくなり、光合成が阻害。 栄養塩の不足(リン・窒素が少なすぎる)も逆に藻場衰退の要因となる。
4. 沿岸開発・人間活動
防波堤や港湾整備による流れの変化。 生活排水や農薬による環境負荷。
磯焼けが及ぼす影響
漁業被害:藻場は「海のゆりかご」と呼ばれ、多くの魚介類の産卵・育成場所。磯焼けで漁獲量が減少。 生物多様性の低下:藻場が消えるとエビ・カニ・貝類・小魚などが減少。 沿岸環境の悪化:海藻が減ると二酸化炭素の吸収能力が下がり、地球温暖化にも悪影響。
磯焼けをどうやって回復させるのか?
1. ウニの駆除・利用
ガンガゼなどのウニを駆除することで藻場の回復を促進。 駆除したウニを肥料や食品(加工品)に活用する取り組みもある。
2. 植食魚の管理
アイゴなどの植食魚を漁獲して数を減らす。 食材として活用する地域もある。
3. 海藻の移植・人工藻場
コンブやワカメをロープや基盤に移植して再生を試みる。 人工的に「海中林」を作るプロジェクトも進行中。
4. 環境改善
生活排水の処理、栄養塩バランスの調整。 沿岸植林や里海活動で流入する養分を健全に保つ。
5. 長期的なモニタリング
水温・魚種・藻類のモニタリングを続け、状況に応じた管理を行う。 自然回復力を信じて放置するより、人の介入が効果的とされる。
回復にかかる時間
軽度の磯焼け:数年で回復する場合もある。 深刻な磯焼け:10年〜数十年かかることも。 人工藻場を作っても、安定した群落を維持するには継続的な管理が必要。
まとめ
磯焼けは「海の砂漠化」とも呼ばれる深刻な現象で、漁業・環境・生態系に大きな影響を与えます。原因はウニや植食魚の食害、温暖化、水質悪化など複合的であり、回復にはウニ駆除や藻場再生、環境改善といった多角的な対策が必要です。
日本の沿岸では各地で磯焼け対策が試みられていますが、自然回復に頼るだけでは難しく、人の手による管理が不可欠だと考えられています。
📚 参考文献
水産庁「藻場の保全・造成」 国立研究開発法人 水産研究・教育機構「磯焼けの原因と対策」 環境省「海洋生態系の保全に関する資料」 既知の知見を整理
【コメント】
スイチャンネルさんを昔から見ているけどなかなか深刻なんだなと痛感
応援しているし、応援しないといけない
釣りをするものとして、海の資源をいただいているものとしてね
てか結局どこか海が崩壊したら空も山も全て壊れていくわけだし自然は繋がっているわけだから
