結論
フランスに「天皇制(=日本の皇室のような制度)」は存在していません。
フランスに存在したのは 王政(君主制) であり、これは1789年のフランス革命を機に崩壊しました。その後一時的に王政復古が行われたこともありますが、現在のフランスは共和制であり、君主は存在していません。
一方、日本の天皇制は世界で最古の君主制であり、現代に残る稀有な存在です。以下では、フランスの王政の歴史、日本との違い、そして世界で現存する君主制について詳しく見ていきます。
フランスの君主制(王政)の歴史
1. フランク王国とカペー朝
フランス王国の基盤は、中世の フランク王国 にさかのぼります。 987年、ユーグ・カペーが王に即位して カペー朝 が成立し、以後フランスは「王国」として長く存続しました。
2. 絶対王政とルイ14世
17世紀、ルイ14世(在位1643–1715)が「太陽王」と呼ばれる絶対王政を確立。 ヴェルサイユ宮殿を建設し、「朕は国家なり」という言葉で象徴されるように、国王が国家の中心とされた時代でした。
3. フランス革命と王政の崩壊
1789年、フランス革命 によって絶対王政は打倒されました。 ルイ16世とマリー・アントワネットは処刑され、王政は廃止。フランスは共和制へ移行しました。
4. ナポレオンの皇帝即位
革命後の混乱の中で、ナポレオン・ボナパルトが台頭。1804年に「フランス皇帝」として即位します。 ただし、この「皇帝(Empereur)」は日本の「天皇制」とは異なり、軍事的・政治的権威を集中させた独裁者的な意味合いが強いものでした。
5. 王政復古と最終的な崩壊
1815年のナポレオン失脚後、ブルボン朝が一時的に復活。 しかし、1830年の7月革命や1848年の2月革命を経て、最終的にフランスは共和制を確立しました。
👉 現在のフランスは 第五共和政(1958年〜) が続いており、大統領を国家元首とする体制になっています。
日本の天皇制との違い
日本の天皇制は 万世一系 とされ、神話時代から現在まで連続する君主制です。 一方フランスの王制は、革命によって完全に断絶しました。 特に大きな違いは、フランスは「国民の主権」を選び、日本は「天皇の存在を国民統合の象徴」として保持した という点です。
世界で残存する君主制国家(現存する王室・皇室)
現在も君主を戴く国は意外に多く、約40カ国あります。その代表例を挙げます。
1. 皇室を持つ国
日本:世界最古の世襲君主制(天皇制)。憲法で「象徴」と規定。
2. 王室を持つ国(ヨーロッパ)
イギリス:立憲君主制、チャールズ3世が現国王。 スペイン:ブルボン朝が存続。 オランダ、ベルギー、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク:いずれも立憲君主制。
3. 中東の君主制
サウジアラビア:国王が絶対的権力を持つ。 ヨルダン、モロッコ:立憲君主制。
4. アジアの君主制
タイ:国王の権威が強く、国民の尊敬を集める。 カンボジア:シハモニ国王が象徴的存在。 ブータン:近年立憲君主制に移行。
5. その他
マレーシア:独特の輪番制君主(州のスルタンが交代で国王に即位)。 エスワティニ(旧スワジランド):アフリカ最後の絶対君主制。
まとめ
フランスには「天皇制」は存在せず、王政(君主制) が革命によって廃止された。 日本の天皇制は世界で唯一「皇室」として連続して存続している。 現在も世界には約40の君主制国家が存在し、多くは立憲君主制として国民と共存している。
つまり、フランスに「天皇制」があったというのは誤解であり、正しくは「王政が廃止された国」であるということです。
参考文献:
柴田三千雄『フランス革命の世界史』(岩波新書) 山内昌之『君主制とは何か』(中央公論新社) 外務省「各国の政治体制」 日本国憲法
【コメント】
歴史はおもろいけど際限ないな
