結論
足が地面に届かない「浮いた座り方」は、骨盤の安定性を失わせ、腰椎が支えを失うため、腰に負担がかかると考えられています。短時間では気付きにくくても、長時間続けば腰痛・肩こり・姿勢悪化に繋がる可能性があります。
足が地面についていないと何が起こるのか?
椅子に座るとき、体重は以下の3点で支える構造になっています。
・坐骨(お尻の骨)
・足裏
・背もたれ(使う場合のみ)
足が地面に届かない場合、支えが
「坐骨だけ」
になるため、体重が一点に集中し、骨盤が後ろに傾きやすくなります。
骨盤が後傾すると、腰椎の生理的カーブ(反り)が崩れ、腰の筋肉が緊張しやすくなると考えられています。
なぜ骨盤の後傾が腰痛を招くのか?
骨盤が後ろに倒れると、以下のような連鎖が起こる傾向があります。
・腰の反りがなくなる
・椎間板後方に圧力がかかる
・腰の筋肉(脊柱起立筋)が過緊張
・猫背になり首・肩も緊張
腰は本来「S字カーブ」で衝撃を逃がす構造ですが、後傾姿勢ではこのクッション効果が消え、筋肉と椎間板に負担が集中しやすくなると考えられています。
足が浮く姿勢はなぜ安定しないのか?
足裏が着いていないと、姿勢を調整するための「支点」がなくなります。
そのため、以下のような代償が起こりやすくなります。
・脚がブラブラして落ち着かない
・腰でバランスを取ろうとする
・無意識に背中を丸める
・片方の坐骨に体重を寄せる
これらは全て、腰に継続的な負荷がかかりやすくなる姿勢です。
短時間なら問題ないのか?
短時間であれば、大きな問題には繋がりにくいと考えられています。
しかし、
・毎日長時間座る
・仕事やゲームで座り続ける
・足が常に浮いている椅子を使っている
などの環境では、慢性的な腰痛の一因になりえるとされています。
足が届かない椅子が腰に悪い科学的な理由
座位姿勢の研究では、腰に最も負担がかかる姿勢は
「骨盤後傾+猫背」
とされており、それを引き起こす要因のひとつが
「足が地面に届かない」
という状況です。
足裏が地面に触れることで、下半身から姿勢を支えるバランス制御が働きますが、浮いた座り方ではそれが使えず、腰で支えるしかなくなります。
具体的にはどんな椅子が危ない?
・バーカウンターのハイチェア
・足置きが遠い高い椅子
・学習用の椅子と机の高さが合っていない場合
・ソファの座面が高すぎる場合
これらは「膝が浮く」「足裏が着かない」状態を作り、腰への負担に繋がる可能性があります。
足が浮く姿勢を改善する方法
・足台(2〜15cm程度)を置く
・椅子の高さを下げる
・座面の奥まで深く座る
・膝が90度〜100度になる位置に調整する
・骨盤を立てやすいクッションを使う
これらはすべて腰の負荷を軽減する方向に働くとされています。
まとめ
足が地面に着かない座り方は、骨盤の後傾を招き、腰を支える構造が崩れることで負担が増えると考えられています。座る時間が長い人ほど、足裏が地面につく環境に整えることが重要になります。
参考文献
・nachemson a. the lumbar spine: biomechanics as a basis for clinical evaluation. j bone joint surg am.
・grandjean e. fitting the task to the man. taylor & francis.
・既知の情報から整理
【コメント】
椎間板ヘルニアが怖い!!
