結論:猫を飼うことが統合失調症の「原因」だと断定できる根拠はない。一方で、猫への曝露(飼育や接触)と統合失調症関連アウトカムの「統計的関連」を示す研究はあり、メタ解析ではオッズ比が約2程度と推定された報告がある。ただしこれは「確率が機械的に2倍になる」意味ではなく、交絡や定義の曖昧さも大きい。従って「猫を飼うと統合失調症が2倍」という言い方は、結論として不適切であり、誤解を作りやすい。
「猫を飼うと2倍」の出どころは何なのか? この主張は、主に観察研究(疫学研究)のまとめ読みから生まれた言い回しである可能性が高い。実際に、猫の飼育・接触(cat exposure)と「統合失調症関連疾患・精神病様体験(psychotic-like experiences)」の関連を扱った系統的レビューとメタ解析では、統合オッズ比がおよそ2.24(報告上の推定値)とされた。 ここで重要なのは、研究が扱うのは「猫の飼育」だけではなく、「幼少期の猫との同居」「猫との接触」「家族内での飼育歴」など、曝露の定義が研究ごとに揺れている点である。 「2倍」とは何を意味するのか? メタ解析が提示するのは多くの場合、相対指標(例:オッズ比)である。相対指標が約2だからといって、「猫を飼った人の発症確率が必ず2倍になる」とは言えない。理由は少なくとも3つある。 ・オッズ比はリスク比(確率の比)と一致しないことがある(特にアウトカムが珍しいと近似されやすいが、同一ではない) ・母集団の「基礎リスク(もともとの発症頻度)」が小さい場合、相対的に2倍でも絶対増分は小さくなる ・研究で見ているアウトカムが「統合失調症そのもの」ではなく「関連疾患」「精神病様体験」などを含む場合があるため、日常語の「統合失調症になる確率」とズレる 統合失調症の有病割合(時点有病)については、世界でおよそ0.2〜0.4%程度という推定が資料内で示されている。 この規模感を前提にすると、仮に相対指標が2程度でも、「猫飼育=大勢が発症する」という話にはならない。 因果関係が証明されない理由は何なのか? 観察研究は「関連」は示しうるが、「原因」を確定しにくい。猫曝露と統合失調症関連アウトカムの間には、交絡(confounding)が複数入り得る。 ・都市部居住、住環境、社会経済状況、家庭環境などが猫飼育と精神健康の両方に影響しうる ・幼少期の家庭事情(ペット飼育の選好、親のメンタルヘルス、生活の安定性など)が、後年の精神疾患リスクと独立に関係しうる ・曝露評価の誤差(「猫を飼っていた」の記憶、時期、接触強度の違い) ・逆因果(もともとの特性や家族要因が猫飼育とアウトカム双方に影響し、猫が原因に見える構図) 従って、関連が出たとしても「猫が原因で統合失調症になる」と結論づけるのは論理の飛躍である。 トキソプラズマが関係しているという話は本当なのか? トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は、猫が終宿主になりうる寄生虫であり、「猫と精神疾患」を結びつける説明としてしばしば持ち出される。統合失調症とトキソプラズマ抗体保有の関連について、メタ解析でオッズ比上昇が報告された例はある(例:抗体保有と統合失調症の関連が統計的に示唆される、という整理)。 ただし、ここでも「感染=発症」ではない。関連があっても、因果の向きや第三要因の影響は残る。 「猫のうんちが危ない」はどこまで本当なのか? 猫の糞便中に排出されるオーシストは、排泄直後からすぐ感染力を持つわけではなく、環境中で一定期間を経て感染性を獲得(スポロ化)するとされ、目安として1〜5日程度が挙げられている。 したがって、現実的なリスク管理としては「放置しない」「毎日処理する」が理にかなう。 また感染経路は猫糞便だけに限られず、加熱不十分な肉や土壌・食品を介する経路も重要だと整理されている。 生活者としての結論:恐怖ではなく、合理的に管理する 猫飼育者が取るべき現実的な対応は、「統合失調症を恐れて猫を避ける」ではなく、感染症としての基本衛生を守ることである。 ・猫トイレは毎日清掃し、糞便を長期間放置しない(オーシストの感染性獲得に時間がかかるため) ・清掃後は手洗いを徹底する(感染経路は経口である) ・妊娠中や免疫不全がある場合は、清掃作業の分担や手袋使用など、より慎重な運用に寄せる(ハイリスク群の感染回避が重要である) ・食肉は十分に加熱し、土いじり後の手洗いを徹底する(猫以外の主要経路も潰す) 「猫を飼うと統合失調症が2倍」の正しさを評価する 評価:表現として不適切であり、問題がある。 理由:メタ解析でオッズ比約2程度の「関連」が報告されたとしても、それは(1)因果を意味せず、(2)曝露定義が揺れており、(3)相対指標を日常語の「確率2倍」に直訳して誤解を生むためである。 より正確な言い方は、「一部研究で猫曝露と統合失調症関連アウトカムに統計的関連が報告され、メタ解析ではオッズ比が約2程度と推定されたが、因果は不明であり、個人の発症を直接予測できる話ではない」となる。 参考文献 ・Schizophrenia Bulletin:cat exposureと統合失調症関連アウトカムの系統的レビュー・メタ解析(オッズ比推定の提示) ・cdc:toxoplasmosis prevention(オーシストが感染性を持つまでの時間、予防の基本) ・ncbi(pmc):Toxoplasma gondii抗体と統合失調症の関連に関するメタ解析(関連の示唆) ・who(cdn.who.int資料):統合失調症の有病割合推定(規模感の把握)
【追記】
流石にわかりづらいので要点だけわかりやすくまとめてもらった
結論
「猫を飼うと統合失調症になる確率が2倍になる」
→ この言い方は不適切で、ミスリーディングです。
なぜ「2倍」という話が出るのか
一部の疫学研究をまとめた分析で 「猫との接触があった人のほうが、統合失調症“関連”の症状が多かった」 という統計的な関連が見つかった その強さを数字で表すと「約2倍」という値になった → ただしこれは確率そのものが2倍になるという意味ではありません
ここが重要な誤解ポイント
この「2倍」は 因果関係ではない 猫が原因だと証明されたわけではない もともと統合失調症は 人口の 0.数%程度 とかなり少ない だから 仮に「関連が2倍」でも 大半の人は発症しない
なぜ原因だと断定できないのか
理由はシンプルです。
猫を飼う家庭の環境 都市部・生活状況・家庭事情 親のメンタルヘルス などが同時に影響している可能性が高く、 「猫だけの影響」を切り分けられていないからです。
👉 「一緒に起きやすい」≠「原因」
トキソプラズマの話は?
猫が関係する寄生虫がいるのは事実 ただし 感染=病気になる、ではない 猫以外(肉・土・食品)からも普通に感染する 猫のフンも 出た直後は危険ではない 何日も放置するとリスクが上がる
現実的な結論(ここが一番大事)
猫を飼うのを恐れる必要はない やるべきことは普通の衛生管理だけ トイレは毎日掃除 手洗い 食べ物はきちんと加熱
最終評価
「猫を飼うと統合失調症が2倍」
→ 科学的に不正確で、誤解を招く表現。
正確なのは
「一部の研究で“統計的な関連”が見つかったが、
原因とは言えず、個人のリスクを直接示す話ではない」
一言でまとめると
関連は示唆されたが、原因ではない。
恐れる話ではなく、数字の使い方が雑なだけ。
なるへそ!
