血液のpHはなぜ7.4に保たれるのか?酸素と二酸化炭素は酸性なのか本当に関係あるのか、運動・呼吸・腎臓・アシドーシスまで徹底解説

結論

血液のpHが7.4前後に保たれている理由は「水素イオン(H⁺)濃度を極めて厳密に制御する必要があるから」であり、酸素や二酸化炭素そのものが酸性・アルカリ性を決めているわけではない。人体は①血液中の緩衝系、②呼吸による二酸化炭素調整、③腎臓による酸排出と重炭酸再生という三段階の仕組みで、日常生活や運動中でもpH7.35〜7.45の狭い範囲を維持している。

そもそもpHとは何か。

pHとは水素イオン濃度の対数表示であり、pHが1下がると水素イオン濃度は約10倍に増加する。血液のpH7.4という値は中性(pH7)よりわずかにアルカリ性側だが、これは偶然ではない。酵素活性、タンパク質の立体構造、電解質の分布、神経伝達、心筋収縮などが最も効率的に働く範囲がこの近辺にあるため、この狭い範囲が選択的に維持されている。

酸素は酸性なのか。

酸素分子O₂は水素イオンを放出しないため、酸でも塩基でもない。酸素という名称に「酸」が含まれているが、pHを直接決定する物質ではない。酸化反応と酸性は概念が異なり、酸化は電子の移動、酸性は水素イオン濃度で定義される。

二酸化炭素はアルカリ性なのか。

二酸化炭素CO₂自体もアルカリではない。しかし水に溶解すると炭酸(H₂CO₃)を形成し、さらに解離してH⁺を生じるため、結果として酸性方向へ働く。反応式はCO₂+H₂O⇄H₂CO₃⇄H⁺+HCO₃⁻であり、CO₂が増加すればH⁺が増えpHは低下する。

ではなぜ血液pHは7.4なのか。

これは生体分子の電荷状態が最も安定する範囲と一致している可能性がある。タンパク質はpH変化で構造が変化し、酵素活性が急激に低下する。特に心筋や脳神経はpH変動に弱い。pH7.0以下では心収縮力低下、不整脈、意識障害が起こり得ることが臨床的に知られている。

血液のpHはどのように守られているのか。

第一段階は化学的緩衝系である。主役は重炭酸緩衝系であり、血液中に存在するHCO₃⁻がH⁺を受け止める。この反応は秒単位で起こる。ヘモグロビンやリン酸緩衝系も補助的に関与する。

第二段階は呼吸である。呼吸は酸素摂取だけでなくCO₂排出を担う。血液中のCO₂分圧上昇は延髄の化学受容体を刺激し換気量を増加させる。これによりCO₂が排出され、炭酸平衡が左へ移動しH⁺が減少しpHが上昇する。運動時に呼吸が増える主因は酸素不足よりもCO₂増加への応答と考えられている。

第三段階は腎臓である。腎臓はH⁺を尿中へ排出し、重炭酸イオンを再吸収し、さらにアンモニアを産生してH⁺をアンモニウムとして固定する。NH₃+H⁺→NH₄⁺という反応であり、アンモニアは酸を捕捉する役割を担う。これは時間単位から日単位で働き、慢性的な酸負荷を処理する。

運動すると体は酸性に傾くのか。

激しい運動ではATP分解や乳酸生成、CO₂増加によりH⁺が増加しpHは一時的に7.2付近まで低下することが報告されている。しかし呼吸増加と緩衝系により致命的低下は防がれる。

酸性に傾いたらCO₂を増やすべきではないのか。

CO₂は酸の材料となるため増やせばさらにpHは低下する。酸性化に対する生体反応はCO₂排出であり、過換気によりpHを上昇させる方向に働く。逆にアルカリ性に傾いた場合は呼吸が抑制されCO₂が保持されることでpHが下がる。

睡眠中はどうなるのか。

睡眠中も腎臓は働いており、尿は膀胱に貯留されるだけで血液ろ過は継続している。睡眠時には呼吸がやや浅くなりCO₂が軽度上昇することがあるが、健康な場合はpHは許容範囲内に保たれる。

腎臓病では何が起こるのか。

慢性腎不全ではH⁺排出能力が低下し代謝性アシドーシスが生じる可能性がある。腎機能低下は酸塩基平衡破綻に直結し得るため重要である。

尿を我慢するとpHは崩れるのか。

排尿の有無と腎臓の血液調整機能は別であり、短時間の尿意抑制が酸塩基平衡を直接破綻させるとは一般に考えられていない。ただし慢性的尿路閉塞は別問題である。

血液pH7.4は偶然ではなく、生命活動が最も安定する化学的バランス点である。人体は常に水素イオン濃度を監視し、緩衝系・呼吸・腎臓という三重の仕組みでこの値を守り続けている。

【コメント】

pHはH+の数値で決まるってのをわかってなかった

あと血液はpHが0.1でも動くと良くないらしい

厳密で緻密だよなあ

タイトルとURLをコピーしました