結論
日傘の外側は白や銀で太陽光を反射し、内側は黒で光を吸収して乱反射を防ぐ仕組みになっています。両方を白にすると明るい光が傘の内側で照り返して暑さや眩しさを感じやすくなるため、外側と内側で異なる色を使うのが最適解とされています。
外側はなぜ白なのか？
まず外側の色についてです。白や銀色が選ばれるのは以下の理由があります。
太陽光を反射する 白や銀は可視光や赤外線をよく反射します。これにより、傘自体が熱を吸収しにくくなり、生地の温度上昇を抑えられます。 直射日光を遮る効果 光を反射させることで日差しを直接通さず、日傘の下にいる人が涼しさを感じやすくなります。 軽やかな印象 白い傘は見た目も夏らしく、心理的な涼しさを感じさせる効果もあるとされています。
内側はなぜ黒なのか？
一方で、日傘の内側は黒にするのが定番です。理由は以下の通りです。
乱反射を防ぐ もし内側が白だと、反射した光が傘の内側で散乱して、顔や首に光が当たり、かえって暑さや眩しさを感じます。黒は光を吸収するので、反射が少なく快適です。 紫外線や赤外線も吸収 黒い布は紫外線や赤外線も吸収してしまうため、照り返して肌に戻ってくるリスクを減らせます。結果的に日焼け防止効果が高まります。 視覚的に眩しくない 内側が黒いと、目に入る光が抑えられるため眩しさが少なく、快適に外出できます。
両方白だとどうなる？
「外も内も白じゃダメなの？」という疑問が浮かぶかもしれません。両方を白にすると次のような問題が生じます。
外側の反射効果は高い しかし内側も白だと光が傘の中で反射し続け、顔や体に当たりやすい 肌に当たる光が増えるので日焼け防止効果が弱くなる 眩しさを強く感じてしまう
つまり「涼しさはあっても、快適さが損なわれる」ということです。
黒い傘（両面黒）はどうなのか？
逆に「黒い傘の方が完全に遮光できていいのでは？」という考え方もあります。確かに以下の特徴があります。
遮光効果は非常に高い 内側も外側も光を吸収するので、反射による眩しさがゼロに近い
ただしデメリットもあります。
外側が黒だと熱を吸収して傘自体が熱くなる 夏の直射日光では表面温度がかなり上がるため、持っているだけで熱さを感じる
したがって、外側黒＋内側黒の傘は「強力な遮光効果」を求める人には適していますが、「体感的な涼しさ」では劣ります。
最新の日傘の工夫
近年は単純に「白と黒」の組み合わせにとどまらず、次のような技術が使われています。
UVカット加工 生地に特殊な加工を施し、色に関わらず紫外線をほぼ100％カットできるようにしている。 多層コーティング 外側は反射素材、内側は吸収素材といった複数層を重ねて効果を高める。 遮光率・遮熱率の表示 「遮光率99.99％」「遮熱率50％」といった基準を明示して、機能性を選べるようになっている。
まとめ
外側白＝太陽光を反射し、傘自体が熱を持ちにくい 内側黒＝乱反射を防ぎ、眩しさや日焼けを軽減 両面白＝眩しくて日焼け防止効果も低い 両面黒＝遮光は強いが、傘が熱を持って暑くなる
結果的に、外側が白（または銀）＋内側が黒という組み合わせが、最も快適に使える日傘の形だと考えられています。
参考文献
日本洋傘振興協議会「日傘の効果について」 気象庁「紫外線の基礎知識」 消費者庁「遮光率・遮熱率の表示ガイドライン」 既知の情報から整理
