エレベーターの仕組みは原始的なのか?レンガのおもりと電気モーターの役割を徹底解説

結論

エレベーターは巨大な電気モーターで数百キロのカゴを直接持ち上げているわけではありません。基本構造は「カゴ」と「おもり(カウンターウェイト)」をワイヤーでつなぎ、釣り合いをとった上で、モーターがその差分だけを動かす仕組みです。見た目は原始的に見えても、非常に効率的で安全性の高いシステムなのです。

エレベーターの基本構造とは?

エレベーターの仕組みは大きく分けて以下の3つで構成されています。

カゴ(人や荷物を載せる部分) カウンターウェイト(釣り合いおもり) ワイヤーと電気モーター(駆動部)

カゴとおもりはワイヤーでつながれており、滑車(シーブ)を介して上下に動きます。このとき、電気モーターがワイヤーを回すことで昇降が可能になります。

なぜおもりが必要なのか?

もしおもりがなければ、モーターは「人+荷物+カゴ」の重量をすべて持ち上げなければなりません。

例えば、

カゴ(空)だけで約500kg 平均的な人数+荷物で約500kg 合計1000kg以上をそのまま引き上げるのは効率が悪く、電力消費も莫大になります。

そこで同じくらいの重さ(約1000kg)のカウンターウェイトを反対側につけておけば、両者はほぼ釣り合います。モーターはその差分(例えば100kg程度)を動かすだけで済むのです。

つまり、エレベーターは「全重量を引き上げている」のではなく、「釣り合った状態を少しだけ傾けている」だけ。これが省エネと安定動作の秘密です。

電気モーターの役割

電気モーターは巨大なパワーで全てを持ち上げているのではなく、釣り合った状態を微調整する役割を担います。

上昇させたいとき → おもりよりもカゴ側が軽くなるように動かす 下降させたいとき → おもりの重さを利用しつつ、落下しないように制御する

このため、モーターの消費エネルギーは大幅に削減され、エレベーターが何十年も安定して稼働できる仕組みになっています。

積載制限はなぜあるのか?

「おもりで釣り合っているならいくらでも積めるのでは?」と思うかもしれませんが、制限を超えるとバランスが崩れ、モーターに過大な負担がかかります。また、ワイヤーやブレーキなどの安全装置も「想定積載量」に基づいて設計されているため、オーバーすると危険になります。

レンガのようなおもりの正体

実際に見える「レンガのような塊」は、鉄やコンクリートでできたカウンターウェイトです。細かく積んだレンガのように見えるのは、重量を調整しやすくするため。見た目はシンプルですが、これがエレベーターの心臓部のひとつです。

原始的に見えて合理的な仕組み

エレベーターの仕組みは一見「おもりで釣り合いをとるだけ」という単純な構造に思えます。しかし、この方法がもっとも省エネで、壊れにくく、安全性も高いのです。実際、100年以上前から基本構造は変わっておらず、現代の高層ビルでも同じ原理で動いています。

総まとめ

エレベーターは「カゴとおもりをワイヤーで釣り合わせ、差分だけをモーターで動かす仕組み」 レンガのようなおもりは実際にカウンターウェイトで、省エネと安全に直結する モーターは全重量を持ち上げるのではなく、釣り合いを制御する役割 積載制限は安全装置やバランスのために不可欠 見た目は原始的でも、非常に合理的で今なお使われ続ける仕組み

参考文献

日本エレベータ協会『エレベーターの基礎知識』 三菱電機 公式サイト「エレベーターの仕組み」 Otis Elevator Company 技術解説資料

【コメント】

おもろいけどじゃあ超高層エレベーターとかはどうなってんのかと

めちゃめちゃ速かったりするやん

超高層エレベーターの特徴と工夫

1. ワイヤーではなく「ベルト」

従来のワイヤーは重く、長くすればするほど自重でたわんでしまいます。

100階以上に及ぶビルではワイヤーが数十トンになり、現実的ではありません。

そのため、最近は「カーボンファイバー製のベルト」や「超軽量素材」が使われ、長距離でもたわみにくくなっています。

2. 高速化のための空気抵抗対策

秒速10〜20m(時速60km以上)で動くエレベーターも存在します。

高速になると「風切り音」や「気圧変化」で耳が痛くなるため、以下の工夫があります。

カゴを流線形にして空気抵抗を減らす 内部を気密構造にして気圧変化をゆるやかにする ファンやダンパーで換気・空調を制御する

3. 安全装置の高度化

普通のエレベーターと同様に、ブレーキや落下防止装置がありますが、超高速だと慣性が大きくなるため強化されています。

特に、万一のブレーキ作動時に急停止しないよう「磁気ブレーキ」や「渦電流制御」で減速します。

4. 地震・風対策

高層ビルは風や地震でしなります。

その揺れに合わせてロープが暴れないように「制振装置」や「ガイドレール吸収機構」が導入されています。

5. 制御システム

100階を超える移動では、エネルギー効率も重要です。

最近は「回生ブレーキ(発電して電力を戻す仕組み)」や「AI制御で混雑を分散させる運行システム」が導入されています。

代表例

あべのハルカス(大阪):分速600m(秒速10m)のエレベーター 台北101(台湾):分速1010m(秒速16.8m)世界有数の高速機 上海タワー(中国):分速1230m(秒速20.5m)世界最速級

つまり「基本構造は同じだけど、ワイヤーを軽くして、高速化に伴う空気や安全問題を解決したバージョン」が超高層エレベーターです。

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