現代では視覚と聴覚に偏りすぎている?それ以外の時間を意識的に作らないといけないのか?嗅覚・触覚・味覚・固有感覚・前庭感覚・内受容感覚についても徹底解説

結論:意識的に「視覚・聴覚以外の時間」を作ることには合理性がある。理由は、現代生活が視覚(画面・文字)と聴覚(音声・言語)に構造的に偏り、身体側の感覚入力(固有感覚・前庭感覚・内受容感覚)や、嗅覚・触覚・味覚の使用頻度が下がりやすいからである。これは気分論ではなく、人間の感覚系が「身体を環境に適応させるための統合装置」である、という前提から自然に導かれる問題提起である。

なぜ「五感」だけでは足りないのか?人間の感覚の全体像

五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)だけで人間の感覚を説明するのは不十分である。少なくとも日常機能に直結する感覚として、次の三つが別枠で重要になる。

固有感覚:四肢や関節がどこにあり、どう動いているかを無意識に把握する感覚であり、筋紡錘や腱器官などが関与するとされる。

前庭感覚:重力・加速度・回転・傾きなどを扱う感覚で、内耳の半規管・耳石器が主要要素とされる。

内受容感覚:心拍・呼吸・空腹・内臓感覚・疲労感など「身体内部の状態」を感じ取る感覚で、情動調整や自己感にも関与すると整理されることが多い。

ここで重要なのは、これらが「身体の安定」「自律神経の切り替え」「注意の固定化の解除」といった、生活の土台に接続している点である。

現代は本当に視覚・聴覚に偏っているのか?偏りは“個人の怠慢”ではない

偏りは個人の性格ではなく、生活設計のデフォルトがそうなっている、という構造問題である。

仕事:画面・文字・会議・通知=視覚+聴覚中心。

娯楽:動画・SNS・ゲーム=視覚+聴覚中心。

移動:座る・運転・公共交通=前庭・固有・荷重刺激が減りやすい。

食:早食い・ながら食い=味覚・嗅覚・内受容への注意が薄くなりやすい。

この結果、身体側の入力が弱いまま「情報」だけが過剰に流れ込む設計になりやすい。

偏りが続くと何が起きうるのか?不調は「気のせい」では片付かない

偏りが直接に病気を作る、と断定することは適切でない。一方で、次のような“起きやすい状態”は説明できる。

注意が視覚情報に固定化しやすい:スクロール・通知・短尺動画は注意のスイッチングを多発させ、疲労感を増幅しやすい。 体内時計の調整刺激が弱くなりやすい:昼光は体内時計に影響し、光の量やタイミングが重要である、という研究報告がある。 睡眠が乱れやすい環境が作られやすい:電子メディア利用と睡眠アウトカムの悪化(短縮・遅延など)の関連を示す研究の蓄積がある。

要するに「視覚・聴覚過多」は、睡眠・覚醒・注意・疲労の系に波及しやすい設計である、という評価が妥当になる。

「それ以外の時間」を作る目的は何か?結局は“神経の切り替え”である

目的はスピリチュアルな浄化ではない。目的は次の三つである。

身体側入力(固有・前庭・内受容)を増やし、脳の統合処理を現実側に戻す。 交感神経優位に寄り続ける状況を緩める(呼吸・姿勢・体温・触覚の介入)。 注意の過集中/散漫を“身体で中和”する(情報ではなく感覚で落とす)。

ここで言う「時間を作る」は、根性論ではなく、入力チャンネルを増やす設計変更である。

何をすればよいのか?現実的な「非・視聴覚」の作り方

成立条件は「短い」「毎日」「同じタイミング」「道具が要らない」である。以下は目的別の最小構成である。

固有感覚を増やす(身体の位置・動きに戻す)

・ゆっくりスクワット5回、またはカーフレイズ20回

・肩甲骨を寄せる動作を10回

・床に座って股関節を回す(左右30秒ずつ)

前庭感覚を入れる(重力・加速度を入れる)

・散歩10分(可能なら屋外)

・階段を一階分だけ上り下り

・首をゆっくり回す、視線を遠近で切り替える

内受容感覚を戻す(呼吸・心拍・内臓感覚)

・4秒吸って6秒吐く呼吸を2分

・湯船に浸かり、温度と心拍の変化を観察する

・食事を最初の3口だけ「匂い→温度→食感→味」の順で分解して食べる

嗅覚・味覚・触覚を増やす(外界の密度を上げる)

・料理の工程を一つ増やす(切る・炒める・香りを立てる)

・猫を撫でるときに「毛の向き」「温度」「圧」を意識する

・掃除を“道具の抵抗感”に注意しながらやる(触覚+固有感覚)

ポイントは、全部やることではない。「視聴覚から離れるチャンネル」を一つ固定で持つことが中核である。

「意識的に作らないといけない」は正しいのか?評価

「作らないといけない」を道徳にすると破綻するが、「作ると得をする」「作らない設計は偏りやすい」は成立する。

したがって評価としてはこうなる。

・主張の骨格(現代は視聴覚偏重で、他感覚の時間を設計したほうがよい)は妥当性が高い。

・ただし、万能薬のように語るのは不適切であり、睡眠・運動・栄養・ストレス要因と並列の“生活設計の一要素”として置くのが妥当である。

・最も重要なのは、情報摂取を減らすことではなく、身体側入力を増やして、切り替えの回路を回すことである。

参考文献(インターネット上の文献のみ)

・Interoception(内受容感覚)に関する総説・概念整理。

・Proprioception(固有感覚)の生理・定義に関する解説(筋紡錘・腱器官など)。

・Vestibular system(前庭系:半規管・耳石器)の機能整理。

・光の量とタイミングが概日リズムに与える影響に関する研究紹介(NIH)。

・スクリーンタイムと睡眠アウトカムの関連を扱う総説。

【コメント】

音と映像だけが流れる板とずっと一緒にいるなんて生活、遺伝子には設計されてないからなあ

やっぱり意識して切り離す時間を作らないと光や睡眠、前頭前野と後頭葉のバランス、イライラとか自律神経とかあらゆるところに影響してくるなって

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